辻村深月の「クローバーナイト」を読みました。

二人の子どもを持つ夫婦が、子どもを取り巻く社会の、色々な問題に奮闘する話です。タイトルは、四つ葉のクローバー型の写真立てに家族4人の写真が飾ってあり、その家族を父が騎士(ナイト)として守るという意味からきています。父親からみた目線で書かれており、母親の目線では見えなかった観察力と気づきが面白いです。

ママ友との関係、お受験、お誕生会と、文字にして書くとよくありがちな題材に見えますが、もっと深くほりさげた話なので物語にグイグイ引き込まれます。ただの派閥争いや、悪口の言い合いではなく、言語化できないような当事者の小さな気持ちもすべて文章で表しているので、この本の世界観にどっぷりハマり、すごく共感できました。特に育乳サロンの京都での意地の張り合いとか「これあるわ~」という感じで思わず本を読みながらニヤニヤしてしまい、周りから私をみた人たちはさぞ気持ち悪い女だと思っていたに違いありません。

 

さすが辻村深月の文章だなと思います。

本文に書いてあった言葉が印象的だったのですが「他から見てどれだけ異質でおかしなことだったとしても、自分が属している社会でそれが普通になる」には、なるほどと感心しました。どうしても自分のいる狭い世界にとらわれがちになりますが、時々は広い視野で物事を見る冷静さも必要です。

また、自分が普通と思っていることが人それぞれ違うから、分かり合えなかったり、ぶつかり合ったり、問題が生まれたりするんですね。「秘密のない夫婦」の章では、娘と母親との確執がすごくリアルに書かれています。私も、母親とこういう感じで分かり合えないことがよくあるなと思いました。

子どもがいる方だけではなく、年齢・性別を問わずに共感される本だと思います。